2008年の北海道で行われたホームスティ体験談
「我が家のお正月にタイの娘が来た」
Story by :千葉 みゆき( 札幌市手稲区)
2007年12月31日から、2008年1月1日まで、
北海道タイ協会が一泊二日のホームステイを企画しました。
北海道大学で学んでいるタイの留学生に
北海道のお正月を体験してもらおうと実施しました。
この企画に参加していただいた
ホストファミリーの千葉さんにホームステイの様子を綴っていただきました。
娘が来た♪
「きゃー!わあ~!!」
元旦の朝、
四畳半の和室で若い娘たちの声が響きわたった。
昨日やってきたタイからの留学生ふたり。
「特別なことはしないけど、
せっかくだから着物でも着てみる?」
おばあちゃんの一声で、
それは大晦日に突然決まった。
深夜、着物をタンスからひっぱりだす。
5枚も出してみた。
そしてこの賑わいへ。
「どれがいい?」「これ!!!!」
ジュンちゃんはピンク。
ノックちゃんは白地に花柄の振袖。
若い娘の好みは万国共通なのか・・。
「そんなにいっぱい着てたらだめ。
ずぼんも脱いで~」「ひえ~はずかしい~」
「おとうさんは向こうにいるから大丈夫」
そしてようやく襦袢からはおり始めたのだが・・・。
「きゃーー。いたいよ~」
88歳のおばあちゃんが容赦なくしめつける。
(写真をクリックすると拡大します)
タイの文化にこんな装い方法があるのかはしらないが、
娘たちは締めつけられる度に伸び上がっている。
「ぎゃ~うわ~」
近所に声がもれていたら事件発生かと思われそうだ。
でもそんなことは知ったことじゃない。
「じっとしていなさい!」
おばあちゃんの声で笑い声と奇声はかき消される。
帯はかわいく蝶々結び。
自分のは見えないから互いに写真を撮っている。
とにかく大忙しだ。
「できた!」・・・・・
その姿はそりゃあもう天下一品の愛らしさ。
お父さんもやってきて皆で写真を撮りまくる。
日本人のおかあさんは
「手はこうやって・・・しおらしく・・」
とかいってみるが、
娘たちはピースしてみたり
今時流行のエロかっこいいポーズでおおはしゃぎ。
着物を着ると身も心もひきしまる・・・
そんな言葉は世界には通用しないらしい。
よくよく考えてみれば、
もしタイにいってあの長い爪をつけてもらえたら、
踊りなんかより「おりゃーーーーー」
とか叫んで誰かれとなく襲いかかっているに違いない。
伝統文化なんていうものは
よその国の者にとっては
心たかぶる摩訶不思議なものに違いない。
案の定、娘たちは家中あちこちで大撮影大会。
笑い声があちこちからわきあがる。
タイの留学生をうけいれてみようかと思ったきっかけは、
7年ほど前のタイ旅行にある。
人々の笑顔に、優しさ。
日本が失っているものをこの国は持っているとつくづく思った。
お寺も象さんも、
食べるものもすべてすてきだったけれど、
何年たっても忘れられないのはあの笑顔。
あの国から来る人たちに
恩返しするのも素敵なことじゃない?
ホームステイはあっという間に終わった。
ちょっと遠いところに住んでいる娘たちが
年末年始を利用して帰ってきた、
そんな感じだった。
本当に特別なことは何もしなかった。
食卓に豪華な伊勢えびが並ぶわけでもなく(笑)・・・
日本のありきたりの食事を出した。
(写真をクリックすると拡大します)
そんな感じでいいのだと思う。
娘たちにはそんな日本の家庭が
どのようにうつったのだろう。
娘たちが帰った後、
おとうさんがボソッとつぶやいた。
「またタイにいきたいね・・」
ジユンちゃんとノックちゃんの日本の母さん
ちば みゆき・・でした☆
(完)
ホストファミリーを随時募集しています!
北海道在住のタイ人を一泊二日の日程で
泊めていただけるご家族を募集中です。
タイ語ができなくてもかまいません。
北海道の日常生活をタイの学生さんたちに
体験していただいて交流を深めてもらいたい
という思いで企画しました。
習ったタイ語を使って
タイの学生さんとはなしてみたい、
タイについていろいろ聞いてみたいなど、
ぜひ、興味のある方はご連絡を。
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